笹子トンネルの怒り

笹子トンネルが27日ぶりに下り車線対面通行の臨時処置で開通した。だがこれに安堵して問題を先送りにしてはならないと思う。この事故の原因は、トンネル構造、保守点検方法、補修保全維持のあり方に有る。しかし現実的には保守点検だけにスポットが当てられNEXCO中日本が悪者に仕立てられようとしているように見える。点検の手抜きをしていたNEXCO中日本に責任があることは間違いはないが、もっと大きな責任を担うべき対象があるはずだ。笹子トンネルは崩落した天井板を上部から樹脂で固定したアンカーボルトで吊るす構造になっている。今から35年前の技術ではこの工法を良しといたのかもしれないが、現代の技術者から見ると常識的にあり得ない構造だと言う。技術は日々進化するものだ。旧技術が危険と判断された時点で一斉再点検を行い早急に改良するか警鐘を鳴らすべきものであった。危険を危険と承知で放置した行政の責任は間違いなくある。一方道路の維持保全はもっと深刻だ。日本の高速道路は高い通行料金を取る。その集めた金が次なる有用ともいえない高速道路に注ぎ込まれる構図だ。従って既存の道路には微々たる維持費しか残らない。維持はするなと言っているようなもの。そもそも維持保全を道路コストに含めない行政の考え方も間違っている。更に問題なのは、このような行政の怠慢に対し一切言及もしないマスコミの姿勢にあると断言出来る。怒り心頭。