財政の崖は深いのか高いのか

米国の「財政の崖」なるものが近づいているらしい。オバマ大統領は09年の就任直後に「13年までに財政赤字を半減させる」との公約を掲げたが、米国の財政は就任の年から4年連続1兆ドル超の大赤字が続いていて全く改善の気配は見られない。13年年初から大型減税終了による歳入増と歳出の強制削減により、財政が5000億ドルも改善することになる。財政面では優等生だが、この改善幅が大きすぎるため景気の失速が恐れられているので「崖」というらしい。財政を健全化の方向に向かわせなければならないのは、国トータルで今まで身の丈以上の生活をしてきたということだ。浮ついた生活はなるべく早く解消した方がいい。遅れるほどギャップの解消が辛くなる。同じ崖でも上から下を覗き込む人と、下から上を見上げる人では見える景色が違う。上から見る人は現状を享受しているが崖の深さが分からずに怯えている人。下から見る人は現状に不満を持ち崖の高さを確認し一時的な痛みに耐える決断をする人。何れにしても、貧富の格差を増長させたブッシュ減税を止め、勝手に増殖してしまう歳出を強制削減することは良い事だ。この2点は日本の財政再建にも活用すべき手段だと思う。