格付け会社は必要か

豪州ではデリバティブの損失をめぐる裁判で、格付け会社が敗訴し投資家に損害賠償する判決が言い渡された。S&Pが最上位のAAAを格付けした商品の資産価値が2年後に90%も低下してしまい、豪の自治体が13億円の被害を受けた。格付け自体が騙しだったと提訴した結果だ。格付け会社は、民間会社ではあるし、主な収入源は格付けする債券の発行会社から受け取る格付け手数料だ。格付けに手心が加えられても不思議ではない。だが公正さと透明性は低いものの市場は格付けに敏感に反応する。格付けが数段アップすれば暴騰し、ダウンすれば暴落する。市場の健全性と安定化をはかるというよりは、市場変動のアクセラレーター的存在だ。格付け会社から見れば、投資家はネギを背負ったカモなのだろう。カモは自分が投資家であると信じ込み、自分自身がカモであることが分からないところにも問題がある。会社の裏には、格付けで市場を操り暴利を貪る何者かが存在しているような気がしてならない。今後各国で投資家が格付け会社を提訴する可能性が高まっている。これを契機にこのビジネスモデルが崩壊することを願いたい。