ノーベル賞の威力

京大の山中教授がノーベル賞を受賞した。生物のあらゆる細胞に成長出来て再生医療の実現につながるiPS細胞を初めて作製し、この分野に革命を起こした功績が評価された。山中教授は当初整形外科医を志したが手術下手で挫折を味わい基礎研究に鞍替えしたとのこと。また同時受賞したジョン・ガードン博士も子供の頃は生物の成績が最低で、先生から「生物学者になりたいなんて馬鹿を言うな」と言われた逸話があるらしい。臥薪嘗胆、人一倍の絶え間ぬ努力が実を結ぶという典型例だろう。これで日本人の受賞者は19人となるが、このiPS細胞研究が人類にとって一番価値があるものだと思う。山中教授のiPS細胞は6年前に発表され世界的に注目を浴びた。しかし当時の政府は、この研究のバックアップを殆んどしなかった。その間世界では戦略的にこの研究に集中し加速させたため、今では日本は米国に抜かれてしまった状況にある。折角の大チャンスを政府の不作為が足を引っ張ってしまった。ところがノーベル賞受賞が決まったとたん、田中文科相も前原戦略相も「全面的に支援したい」と言い出す始末。権威者の判断がないと何も自ら判断出来ない政治家の目が節穴であることが立証されたようだ。遅ればせながら研究を支援するとのことなので、まあ良しとしよう。祝受賞、祝支援。