一足早い箱根の紅葉

緑一色の箱根の山中にあるホテルの露天風呂とその眺望は、まさに癒しの空間であった。都会の喧騒から隔離された静寂と適度に暖かい温泉が自分を包み込む異次元の世界だ。と思って温泉に浸かっていると何か違和感を感じている自分を発見した。何か違う、何か変だ。先程まで我が目にしっかり焼付いていた緑色が、緑ではなく変色していることに気が付いた。モミジの紅葉だ。今日はまだ10月になったばかりだから紅葉には早すぎる。不思議に思って観ていると博識なテニス仲間が教えてくれた。植樹した樹木は紅葉が早いとのこと。このホテルは開業して2年ほどの若いホテルだから周りは植樹した樹木で囲まれているようだ。生まれて間もない建物の周りに、年齢的に一歩先に年取る樹木。年齢的にはプラスマイナスゼロとなる自然の摂理を感じるし、植樹した木々が生まれた建物を祝福しているようにも思えた。だが最終的には、季節を先取りした紅葉が我々を歓迎しているのだと勝手読みするすることにした。