尖閣国有化により得られたもの

尖閣国有化のメリット/デメリットが明らかになってきた。元々尖閣は国際法上日本の領土であり実際に実効支配しているので今すぐ国有化しなければならない理由はなかった。都の所有化を言い出した石原は、避難港の必要性を主張しているが、尖閣周辺は大した漁場ではなくその緊急性もなかった。国有化した政府も当面は尖閣を触らないと言っている。従って尖閣を国有化したことによる直接のメリットは何もない。間接的には少しある。海の警察である海上保安庁強化の必要性を国民に分からしめたことと、中国の南沙政策に悩む東南アジア諸国を少し力付けたこと。だがこれらは直接対応が可能なのでメリットとは言えない。反面デメリットは大きい、と言うよりはデメリットしかない。中国の反日感情を異常なまでに刺激し、感情に留まらず経済活動を急減速させ友好関係もストップさせた。日中のナショナリズムを煽り極右派を増長させ虚しい憎しみだけを増殖させた。領土問題は双方の国にそれなりの言い分があり、一朝一夕に片付くものではない。時間をかけ少しずつ妥協点を見つける方法しかない。世界の常識では、一方的に国有化した日本に非があり、暴徒化した反日デモは中国に非がある、と言われている。この事態を招いたのは、政治家の失策としか言いようがない。