ルネサスの再生法

世にも不思議な会社がある、その名はルネサスエレクトロニクス。日立製作所と三菱電機とNECのマイコン部門が合併して出来た会社で、Renaissance Semiconductor for Advanced Solutionsの頭文字から名付けられ、日本から世界に向けた半導体産業復興の意が込められていた。今やシステムLSIは自動車、電化製品、情報機器のキーデバイス。システムLSIなくして日本の産業は成り立たないというほどの重要な部品だ。ところが会社創立以来常に赤字。しかも大震災で大打撃を受け二進も三進もいかなくなってしまった。米投資ファンドのKKRの出資交渉が最終段階になり、日本の業界が慌てふためきだした。官民一体でKKRに対抗するという。何故赤字が続いていたのか、それが問題だ。外国の同業他社は、ルネサスの品質であれば今の数倍の価格で売れるはずと言っている。今年度の売上約9000億円、損益-600億円の見通しだから、単純に売値が倍になれば超黒字になり優良会社の仲間入りをすることになる。適正価格で売れば優良会社だが、不当に安い価格を強いられる。売値を安くし赤字になり、そのユーザーが再建を手助けする。おかしな構図だ。しかも産業革新機構が手助けに入るという。トヨタやパナソニックなどのユーザーが適正価格で購入すれば解決する話だ。蛸が生き延びるため自分の足を食べ始めたら、その蛸は生き延びられるのだろうか、程度の内容だ。システムLSIは日本企業の強さの根源だ。死守すべし。