農水省の的外れな規制緩和

農水省が地方競馬活性化のため、主催者が馬券の払戻率を自由に設定出来るよう規制緩和するとのこと。公営競技は長年にわたり地方自治体の貴重な財源となってきたが、近年では一般大衆のギャンブル離れで不採算化が著しい。特に地方競馬は20年前には1兆円あった売上高が3千億円まで減少し、運営団体も25から15まで減って、市町村はその赤字に苦しめられている。しかし果たして農水省が地方競馬の活性化をはかることは正しいことなのだろうか。競馬は刑法の特例として開催が認められている公営ギャンブル。競馬法によると、市町村でその財政上の特別の必要を考慮して総務大臣が農林水産大臣と協議して指定するものであり、その対象市町村とは、著しく災害を受けた市町村と既に地方競馬場が存在する市町村。元々は災害復旧の財源確保のための臨時立法的性格を持っていた。競馬はThe Sport of Kingsともいうが、競技関係者からしてみれば「スポーツ」であるのと同時に、観戦者からしてみれば勝馬を予想して金を賭ける「ギャンブル」だ。一般大衆から見れば、競馬はスポーツではなくギャンブルそのものだ。倫理上および法律上からすると、国は競馬を極力廃止すべき立場にあると言える。競馬は農水省、競艇は国交省、競輪オートは経産省が監督官庁となっているが、国を挙げて公営ギャンブルを廃止すべき時代を迎えていると思う。