大文字五山送り火

大震災で津波に流された陸前高田市の名勝「高田松原」の松を「大文字五山送り火」で燃やす薪として使用する計画が中止になった。放射能汚染を懸念する声が寄せられたため検査した結果、薪から放射性物質は検出されなかったが地元の心配を払拭出来なかったらしい。薪には被災者がそれぞれ亡くなった家族への思いや復興に向けたメッセージを書き込んでいた。メッセージは別の薪に書き写し燃やされるとのこと。「大文字五山送り火」はお精霊さんと呼ばれる死者の霊をあの世へ送り届けるとされている行事だ。被災者の供養として極めて画期的で象徴的な行事となる計画であったので中止したことは残念に思う。震災以来数々の風評被害という言葉が報道されてきたが、この「高田松原の松」が風評被害の極め付けだ。五山送り火は葵祭・祇園祭・時代祭とともに京都四大行事の一つであり、死者を送る伝統のあるお盆行事であったが、この一件で単なる火遊びにまで格を落としてしまったと感じるのは自分だけだろうか。