電気自動車の充電:発想

トヨタ自動車が14日電気自動車とプラグインハイブリッド車向けの充電スタンドを開発したと発表した。30~100分でフル充電できる。全国のトヨタ系販売店や大型商業施設、ファミリーレストランなどに導入を呼びかけるとのこと。しかし、これより数日前宇都宮市のベンチャー企業エネルギー応用技術研究所は、5分で充電できる電力貯蔵式急速充電システムを開発し国際特許を取得したと発表した。このベンチャーによると、現在の充電システムは電力会社から送られる電力を直接車に充電するため、送電線の容量を超える大量の電力を流すことができない。そこで電力を大型の蓄電池に貯めておき、充電が必要な車に蓄電池から一気に充電する方式を考えた。幅約10メートル、高さ約1・5メートルの大型蓄電池を使用すれば、100台の電気自動車に一度で充電できるという。このベンチャーの発想の原点は、電気自動車を普及させるにはガソリンの給油と同じぐらいの時間で充電できるシステムが不可欠ということがポイントだ。一方トヨタの発想は、送電線容量の枠内での最大効率を求めることに限られており、電気自動車普及を目指すという意気込みが感じられない。6月7日「磁気抵抗ゼロの発電機」と同様に、専業メーカーが従来の常識の域から抜け出せない現象だ。専業メーカーは何故自由な発想ができないのだろうか。短期的な成果を開発者に要求しすぎる企業の体質も問題だと思う。しかし、企業にとってもっと重要なのは、自社のコア技術を更に進化させるための基礎研究を疎かにしていることではないだろうか。