結論ありきのWHO調査

WHOが新型コロナウイルスの起源解明に向けた調査を武漢市で行った結果を発表した。報告書で中間宿主となる動物を介した感染が最も可能性が高いとし、中国の研究所からウイルスが流出したとの仮説をほぼ否定した。報告書では、人への感染経路に関し、4つの仮説を検証。(1)ウイルスを宿した動物から別の動物「中間宿主」を介した感染(2)野生動物からの直接感染(3)冷凍食品などの食品流通網を経由した感染(4)研究所からの流出。WHOは(1)(2)が有力で、(4)の研究所からの流出は極めて可能性が低いと結論付けた。でも、調査が行なわれたのは発生から2年も経過しており、しかも、その間に研究所は改修されている。更に調査に用いたデータは中国当局から提供されたもの。WHOの調査は、真実追究からはほど遠いものだった。始めから結論は出来ていたと見るべきだろう。まさに出来レースの典型だ。案の定、日本や米国など14カ国はWHO調査に対し「懸念を表明する」との共同声明を出した。WHOへの信頼は更に地に落ちた。下手な調査などしなければ、信頼性の低下を少しは防げたかもしれない。