不作為の賜物

今年の流行語大賞は「アベノマスク 」だと思っていたが「3密」に決まった。「アベノマスク」だと少しトゲがあるので「3密」が妥当な線なのだろう。コロナ禍だけに、ベスト10にはコロナ関係が半分を占めた。選考委員をつとめた国語学者の金田一杏林大教授は「もうちょっと違う言葉を選びたかった。あまりにも未成熟な言葉が多く選考の会でもうんざりしながら探した」と告白したとのこと。日本語は3K、3高のように複数のものを一つの言葉にまとめるのが上手だ。分かり易さが評価されたのだろう。流行語大賞のノミネートは30あった。主催のユーキャンは「流行してなかった語」大賞もアンケート調査している。その結果、1位は「まぁねぇ~」2位は「愛の不時着」。自分は全く聞いたこともない。世代が偏っているのだろう。「3密」の発案者は「言葉の人」の小池都知事と言われている。過去に「クールビズ」「盛り土」「都民ファースト」「排除します」「ダ・イ・ジョ・ウ・ブ」と流行語を連発してきた。但し結果は裏目に出ているが。そこにあろうことか、加藤官房長官が「3密」は当時厚労相だった自分が記者会見で最初に発信したのだと割り込んできた。でも「3密」は厚労相としての勲章ではない。むしろ、結果として「3密」しか残せなかった厚労相の不作為の賜物だ。頓珍漢にも程がある。