地獄の救世主

黒川検事長の半年の定年延長が問題視されている。検察庁法では検察官は63歳で退官するとなっている。だが官邸は「検察庁法には勤務延長の規定がないので、国家公務員法が適用される」との屁理屈で、強引に黒川の定年延長を図ろうとしている。理由は明白だ。黒川が「官邸の門番」として数々の政治案件を握りつぶしてきたからだ。定年を延長して次期検事総長に就け門番ぶりを発揮させようとしている。かつて、後援会観劇ツアーで有権者を買収した小渕優子元経産大臣と、URへの口利きで現金を受け取った甘利明元経済再生担当大臣には明白な証拠がそろっていたが、黒川が潰したと言われている。今後安倍は桜を見る会で立件され、河井夫妻の公選法違反も問われる可能性が高い。安倍から見れば、黒川こそが地獄の救世主だ。なり振り構わず黒川を次期検事総長にさせようとする魂胆は見え見えだ。官僚の人事権が内閣府に移ってから、本来内閣から独立性が求められる日銀総裁、内閣法制局長官、最高裁判所判事、会計検査院長の人事が安倍一色に染まっている。内閣から独立性が求められる人事については、内閣から切り離す法改正が絶対に必要だ。