県名変更の正道と邪道

星野リゾートの社長がインタビューで「福島に外人観光客を呼ぶには県名変更が一番効果的」と言ったことが話題になっている。フクシマ=原発事故のイメージが強いからだ。また、鳥取県は以前蟹取県と名乗っていたが、今年から星取県へと装いを新たにした。環境省の全国星空継続観察で、鳥取市が「星の見えやすさ」の全国トップに輝いた実績を持つからだ。県名変更には、正式名称変更と第二の県名名付けの2通りがある。正式名称変更は、嘗て長野県を信州県に、滋賀県を近江県に変更する意見はあったが、実現されたものは無い。都道府県の名称を変更するには、衆参両院で過半数の賛成を得て法律を制定し、その後住民投票で過半数を得る必要がある。そう簡単な話ではない。寧ろ法律以前に、住民の理解が得られない。滋賀県の近江県変更には世論調査で8割がNOと答えた。住民は現名称に愛着を持っているものなのだ。もし、福島県が桃県になったとしても、誰が喜ぶのだろう。寧ろ原発事故隠しとして悪いイメージが定着してしまうかもしれない。一方、第二の県名はお気楽だ。香川県の「うどん県」に始まり、大分県の「おんせん県」、群馬県の「すき焼き応援県」等々数多い。地元の名物で注目を集めようという魂胆だ。県名変更に限っては、お気楽な第二の県名名付けが正道で、正式名称変更は邪道と言えそうだ。