報道の自由と取材の自由

日本のマスコミの無節操さはブルーシートに書いた。この節操のなさは最近のことかと思っていたが、そうでもないようだ。事の始まりは、30年前のJAL機が墜落した御巣鷹の峯事故との説がある。当時のNHKは取材力で圧倒していたが、フジTVが取材競争に勝ち抜き、奇跡的な生存者救出の瞬間をお茶の間に届けたことが高く評価され、新聞協会賞を受賞した。それ以来大事故を生々しく衝撃的な映像で報道することがマスコミの勲章になってしまったようだ。その後も、雲仙普賢岳、阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震と悲惨な天災が続いている。その度にマスコミの行き過ぎた取材活動が、被災者から批難を浴びているのが現状だ。家が崩壊し家族を亡くした被害者に「今の気持ちは」と、傷に塩を擦り込むような報道は一例だ。マスコミは一体何処を見て報道しているのだろうかと思う。一方、世界レベルで「報道の自由度ランキング」が発表されている。日本は72位だが、スイスは7位。そのスイス人が阪神・淡路大震災救助の際に、テレビカメラがぞろぞろついてきたことに驚いたと言う。報道の自由と、取材・放映の自由は全く違う。日本のマスコミは「報道の自由」を履き違えている。この間違ったマスコミの常識を正すことが出来るのは誰なのだろうかと思う。