トランプ政権のアキレス腱は何だろうか?4月9日午前10時に一律関税に最高50%まで上乗せする追加関税を華々しく発表した。しかし、その途端、株価は下がり、ドルが急落し、米債権価格も急落した。トリプル安だ。何故かトランプは慌てて、関税を90日間停止すると発表した。そして、米中関税交渉で何と、米国は対中関税率145%を30%に、中国は対米関税率125%を10%に、それぞれ115%も引き下げた。余りにも極端過ぎる。と言うよりは、ボッタクリ店主が、ヘビに睨まれた結果としての構図そのものだ。トランプのFRB議長の解任発言撤回も米国債券急落によるものだった。要するに、トランプのアキレス腱は、米国債券だったのだ。市場金利が上がればただでさえ低迷しているアメリカ経済はリセッションに向かう。トランプのスタッフは何としても債券価格の下げだけは食い止めたかったのだ。米国債券を大量に持っているのは、日本と中国。トランプが幾ら吠えようが、日本と中国には切り札がある。あまり切り札を見せつけるのは品が無いし、逆襲を喰らう恐れも有る。何も出来ない石破がノラリクラリと時間を消費することが、どう言う訳か時代にマッチしていると言えそうだ。
大阪高裁が森友事件に関する文書を開示するよう判決を下し、財務省は今年4月資料およそ2000ページを開示した。しかしこの資料には付けられた通し番号1~382番の中で74個が欠けていたのだ。これについて財務省は国会で「政治家関係の応接録を廃棄した過程で欠落したと考える」と答弁した。国会には黙っていた。検察の捜査でも出さなかった。誰にも明らかにせず秘密にしてきたのに、文書が抜き取られていることに遺族が気付いてしまった。「第二の改ざん」ではないかと追及されては、もはややむを得ない。財務省としてはそんな心境だろう。だが、抜き取られた文書の存在は不明だが、概要を記した一覧表は残っている。その概要は300円を出費すれば、週刊文春電子版で読むことは出来る。でも、300円の価値は無いから、自分は読まない。結局財務省が隠蔽し続けたのは安倍元首相夫人に関する文書だったとのこと。紀藤正樹弁護士は「廃棄は犯罪だ。真相の徹底解明が必要」とコメントしている。さて、進展するだろうか。
トヨタが豊田自動織機の非上場化を検討中とのニュース。2024年には大正製薬、永谷園など94社が東京証券取引所で上場廃止となった。戦前は企業を非上場のままにして一族の支配下に置くケースが多かった。でも戦後になると、大企業が軒並み上場していった。その結果、上場企業=世間に認知された大企業というイメージが浸透し定着した。それなのに今非上場化を目指すのは何故なのだろう。豊田自動織機の時価総額は5.6兆円で、その株式の4分の1をトヨタ自動車が保有している。トヨタ自動車は元々豊田自動織機の自動車部から出発した。いわば豊田自動織機はトヨタ自動車の本家という関係にある。日本は今、真の意味での「資本の自由化」を迎えている。海外投資家が日本企業の大株主となり、利益になるなら簡単に敵対的買収をする時代だ。トヨタ自動車は敵対的買収の対抗策として、豊田自動織機の非上場化を検討し始めたに違いない。株式市場は時代の曲がり角に来ているようだ。
日本発の先端技術材料であるカーボンナノチューブが、昨年EUで発がん性に近い物質と認定され、事実上禁止処分となった。規制案のベースとなった論文は、14年に発売を中止した毒性が強いカーボンナノチューブの実験データを採用していた。日本の関係者は、科学的根拠に欠けた規制だったので、すぐに撤回されると考えたことが甘かった結果となった。カーボンナノチューブとは、鋼の20倍の強度を持ち、銅の10倍の高熱伝導性を有し、シリコンの10倍の電子移動度を持ち、重さはアルミの半分で、バッテリー、半導体、複合材料など、様々な分野で利用が期待されている。カーボンナノチューブの生みの親である飯島名城大教授は「科学というよりは感情論。悪者というレッテルを貼られてしまった」と嘆いている。しかし、6年前からEUがカーボンナノチューブの規制を準備しているという話はあったのだ。でも、日本の誰も欧州でのロビイングに動こうとしなかったのだ。もし、真面目にロビイングをしていれば、このような事態に陥る事は無かったかもしれない。スポーツ界でも、日本が秀でるとルールが変更されるのは常だ。正論で迫るロビイングは絶対必要だ。
兵庫県知事選を契機に、新聞社がファクトチェックする動きが出てきた。ファクトチェック後進国である日本の夜明けかもしれない。神戸新聞が「整備に1兆円かかる播磨臨海地域道路のルートを変更して5000億円に圧縮した斎藤知事に対して、既得権益を持つ議員たちが斎藤おろしを画策した」とする陰謀論に関するファクトチェック記事を載せた。斎藤知事が1兆円から5000億円になるようにルート変更したというのは誤り。反対派は5000億円のルートを1兆円に変更しようとしているのは根拠不明。亡くなった竹内英明前県議に寄付した不動産業者が利権に関わったというのは誤り、という具合。これが出来ていたら、選挙結果は変わっていたに違いない。河北新報では、ファクトチェック形式ではなく、真偽不明な情報について記者が調査し読者に根拠を提示する形を取っている。今まで新聞社がSNSのファクトチェックをしなかったのは、公平性を考えたからだと言う。と言うよりは、新聞社はSNSに踏み込まないという壁が存在していたからだろう。やっと、新聞とSNSの垣根が取り除かれそうだ。YouTubeも巻き込み、情報機関の融合化が公正な情報伝達手段となるよう期待したい。
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