トランプの看板政策である大型減税・歳出法案が成立した。「大きくて美しい法案One Big Beautiful Bill」と名付けられている。10年間で約490兆円規模の減税が行なわれる。試算によると、10年で約300兆円もの新たな借金を国民に負わせることになる。トランプは、この減税分を世界から巻き上げる関税で補おうとの魂胆だ。大きくて美しい法案の要点は減税だが、ほとんどの恩恵を受けるのは高所得者。減税の25%ほどが上位1%の高所得者に集中している。一方、低所得者は恩恵どころか損失を受けることになる。一体何処が「大きくて美しい法案」なのだろうかと思う。「大きくて美しい法案」は通称ではなく正式名称だ。米国では、法案の狙いに相反するものでも、名前は自由に付けられる。ブッシュ政権時代には、排ガスの規制を緩和し、空の汚れが悪化しそうな内容の法案が「きれいな空法Clear Skies Act」と名付けられたことがある。法案の名称の格差が広がるとともに、米国民の格差も一層広がることになりそうだ。
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