ボーハチって

NHK大河ドラマは、殆ど観ないのだが、去年の「光る君へ」と今年の「べらぼう」は観ている。「光る君へ」は、現代調ではあるが平安の世を偲ばせて面白かった。一方「べらぼう」は、吉原に絡む蔦屋重三郎の物語だ。果たして、花街である吉原が大河ドラマにマッチするのだろうかと思っていた。でも、当時の吉原の状況が上手く描かれていると感じる。よく「ボーハチのくせに」という台詞が出て来る。「ボーハチ」という言葉は聞いたことが無い。調べて見ると、漢字で「忘八」と書き、人として大切な八つの徳(仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌)を忘れた者とのこと。ドイツの旅行家エンゲルベルト・ケンペルは自著「日本誌」で「楼主はいかに裕福でも、決して公正な市民とは認められず、市民と交際することも叶わない。ほとんど人とは認められていない」と書いている。吉原者は士農工商に含まれない最下層の身分であるとされていたという。こういう背景を知ると、日本橋が如何に吉原者の進出を阻止しようとしたかが窺い知れる。話は変わるが、トランプはTACOだが忘八とも言えそうだ。