長らく謎であった新石器時代フィギュアについて有力な新説が発表された。対象は、エジプト先王朝時代のナカダⅡ期(5700~5300年前)のフィギュア。ここで言うフィギュアとは「造形された人体型の小像」を意味する語で、ぴたりと閉じられた両脚、不自然な後傾姿勢、腕部が省略された円筒状の上半身、という奇怪なフォルムだ。今年発刊された「竹倉史人:世界の土偶を読む:晶文社」によると、奇怪なフォルムは植物の人体化であると言う。植物資源が人体化されて造形されたのは、当時の採集狩猟民や耕作民たちが炭水化物の精霊たちを可視化し、これと交渉する必要があったからだと考察している。著者は、実際にムギを発芽させ、フィギュアとソックリな姿であることを確認している。竹倉史人氏と言えば、かつてこのブログ「土偶の謎の解明」で、取り上げたことがある。遮光器土偶はサトイモだと解明している。恐らく著者は、これに自信を付け、海外の土偶にも展開したのだろう。まさに研究の宝を掘り当てたのだと思う。因みに「世界の土偶を読む」出版記念講演会が2025年7月16日東京科学大学で行なわれる。興味のある人は是非拝聴すべきだと思う。
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