日本製鉄のUSS完全子会社化が承認された

1年半超に及ぶ交渉の結果、日本製鉄のUSS完全子会社化が承認された。国内の鉄鋼市場は中国製の安価な鋼材が出回り、生産縮小を余儀なくされている。トランプ関税が50%に引き上げられたので、米国内現地生産は必須だ。しかも米国の鉄鋼は成長市場で、日鉄が得意とする自動車用の高張力鋼板、電磁鋼板、石油掘削用の油井管の需要が底堅い。日鉄が成長戦略を描くには、USS買収が必須だった。USSを完全子会社化することと、日鉄が2028年までに1兆6000億円を新たに投資することと、米政府が拒否権を行使出来る黄金株を持つことで、合意に至った。日鉄が完全子会社化に拘ったのは、技術流出を恐れたからだ。結局、到底妥結しようもなさそうな交渉が成立した。橋本日鉄CEOの粘り強さには感服する。あとは、巨額投資に見合った収益が生み出せるかだ。何か先が明るいような気がする。