迷走するトランプ相互関税

トランプが自ら発した相互関税で迷走している。米国株が下落し、ドル売りも進み、米国債も売られ、まさにトリプル安だ。特に、米国債が売られ金利が上昇したことがトランプの尻に火を点けた。相互関税発動から13時間後には「90日間、関税を停止する」と発表した。まさに事実上の撤回宣言だ。この一連の騒動でトランプの弱点が見えてきた。米国債を売れば良いのだ。幸い日本は世界一の米国債保有国だ。米国債を売ればトランプは温和しくなるし、使える円が増えるので、一石二鳥だ。そもそもトランプの相互関税はいい加減だ。計算の元は(米国がA国に抱える貿易赤字)を(A国からの輸入額)で割ったもの。非関税障壁も加味したという政権の言い分は嘘だったのだ。例えば、EUの米国への関税率は3%未満だが、39%と計算される。相互関税発表当初、トランプは「各国が俺の尻にキスをしている」と豪語していたが、どうやら今は「己の尻に火が点いてしまった」。日本は交渉のトップバッターとされているが、事態を静観するのが得策のようだ。