敵を知ろうとする努力

未来は誰にも分からない。でも、世界的な重大事件を当てる人物がいる。歴史人口学者のエマニュエル・トッドだ。過去にソ連崩壊、リーマン・ショック、アラブの春、英国EU離脱など数々の予測を的中させてきた。予測とは超自然的なものではなく、適切なデータを収集し、きちんと分析すれば出来るものだと言う。そのエマニュエル・トッドが、今度は「西洋の敗北」を指摘している。西洋の凋落を証明する要因は3つある。1つは、米国のGDPにはでっちあげの部分があり、産業力が衰退していること。1つは、プロテスタント文化が消失したこと。そしても1つが、非西洋世界が西洋よりもロシアを好むようになったこと、だと言う。ところが、西洋メディアは事実を報じていないと指摘する。ウクライナ戦争は五分五分と報道しているが、実際はロシアの方が圧倒的に有利な立場にある。ロシアは西洋の制裁により、返って経済的に強くなった。ロシア国民を結集させる愛国心が高まり、経済制裁に対抗して大がかりな保護主義の政策が実施されたからだ。ウクライナと西側諸国が最悪な事態に見舞われるのはこれからだ。恐らくロシアは、ウクライナの領土の4割とウクライナの中立化を狙っていると指摘する。敵を知ろうとする努力が予測の確度を上げると結んでいる。