ヒトもクマも被害を被る環境省対策

クマによる人身被害が全国で相次いでいる。環境省によると、今年度の現時点までのクマによる人的被害は統計開始以来最多の180人。5人の死者も出ている。クマ被害は年々増加しているが、今年は特に多いという。岩手県では、クマのこの時期の主要なエサであるブナの実が大凶作なため、エサを求めクマが里に来るからだという。一方で、アーバンベアなるクマもいる。クマは本来怖がりだが、生まれながら市街地周辺で暮らし、街中に出没する都市型クマをいう。アーバンベアは人への警戒心が比較的薄い。白昼堂々、庭先の柿の実など果実を食べにくる。結局、エサの大凶作とアーバンベアがクマ被害を拡大させているようだ。ところが、自治体のクマ捕獲や駆除に対し、クレームが殺到しているとのこと。ヒトよりもクマの命が大切だという変質的動物愛護者だ。環境省は、捕獲や駆除のための交付金の対象となる「指定管理鳥獣」にクマを追加する検討を始めたとのこと。対症療法としては仕方ないが、環境省の本来の仕事は、それではない。ヒトとクマが共存出来る環境を整備することだ。1周遅れの環境省対策では、ヒトもクマも被害を被ることになる。