国連事務総長の見識

国連事務総長の職務は多岐に亘る。提唱者であり外交官であり公務員であり、かつ最高経営責任者でもある。事務総長には相当幅広い自由度が与えられている。時にはアナンのように職権をかざして賄賂をせびり私腹を肥やす者もいた。ところが現在のグレーテス事務総長は清廉潔白だ。パレスチナ自治区ガザの人道危機に対処するためエジプト側のラファ検問所前を訪れた。バイデンがイスラエルと合意した支援物資トラック20台が検問所を通過出来ないでいる。一刻も早く物資を搬入することを訴えるために紛争の現地を訪れたのだ。紛争の現場へ行く事務総長など聞いたことない。頭でっかちではなく行動的なのだ。また安全保障理事会の演説では「ハマスによるテロを正当化することは出来ないが、ハマスの攻撃は何もないところから起きたわけではないと認識することも重要だ」と言及した。国連の指導者としてふさわし見識だと思う。しかし、この発言に対しイスラエルは「テロを容認し、正当化する発言だ」と主張し、グレーテス事務総長に辞任を求めたという。道理で世界から紛争が無くならない訳だ。グレーテス事務総長が親になり、世界中のきかん坊たちを真面に育てるため躾けをしているようにみえる。