「なったら総理」と「なりたい総理」

デイリー新潮の記事「憲政史上、最もみっともないあだ名を付けられた岸田首相」が見に留まった。政治の世界に「首相プレミアム」という指標がある。内閣支持率から与党第一党の政党支持率を引いた値をいう。プラスが大きければ政権は有権者の広範な支持を得ていることが分かり、マイナスならば首相は不人気ということになる。岸田内閣は発足当時、プレミアムは13だったが、今は0近くを彷徨っている。発足当初のご祝儀相場の貯金を使い果たしてしまったことが分かる。政策が増税のオンパレードだから、岸田に「増税クソレーシック」という不名誉なあだ名が付いた。首相にあだ名が付けられること自体は珍しくない。吉田茂は「ワンマン」、田中角栄は「今太閤」、中曽根康弘は「風見鶏」という具合だ。でも「クソ」が付くとは憲政史上、最もみっともないあだ名となる。国民が岸田政権に怒りを感じていることが伝わってくる。政治アナリストの伊藤惇夫氏によると、首相には「なったら総理」と「なりたい総理」の2タイプがあるという。「なったら総理」とは、首相になる前から「総理になったら必ずこれをやる」と政策ビジョンを練り続けた政治家のこと。中曽根康弘、小泉純一郎、安倍晋三らが代表的人物だ。一方「なりたい総理」とは、総理になることだけが目標で、それが実現すると次の目標は無い。国家観や政策上の定見といった中心軸が存在しないので、只ひたすらに長期政権を目指すことになる。その代表例が菅前総理と岸田総理だ。いま岸田は国民の生活苦を解消するための政策を脇に置き、延命のための解散にひた走っている。所詮「なりたい総理」にとって、日本の舵取りは無理難題というものだ。