毎日新聞の記事「原発を止めた元裁判長(無知は罪、無口はもっと罪)岸田政権2年」が為になる。関西電力大飯原発3、4号機の運転に差し止め判決を出した樋口元福井地裁裁判長へのインタビュー記事だ。要約すると下記の通り。大飯原発の耐震設計基準は当時700ガル(震度6弱相当)で、関電は700ガルを超える地震は考えられないと主張したが、700ガル以上の地震動をもたらした地震は00年からの20年間で、全国では30回起きている。原発の耐震設計基準である基準地震動を超える想定外の地震動は、東日本大震災を含め、少なくとも05年からの約7年間で全国の原発で5回起きている。要するに規制委の基準は原発の安全を保証していないのだ。それを根拠に差し止め判決を出したが、高裁は国策だから口を出すなという理由で棄却してしまった。今も30件を超える原発関連訴訟が係争中だが、敗訴が多い。それは裁判官が原発裁判は専門技術訴訟と思い込み、規制委の規制基準を満たしているか、という視点から判断するからだと指摘している。最高裁は22年6月、福島原発事故に伴い避難した福島県民ら約3700人が国と東電に損害賠償を求めた訴訟で、国の賠償責任を認めない初の統一判断を示した。でも、その時の裁判長は退任後、東電の代理人を務めた弁護士事務所の顧問に天下りした。また、最高裁判事の人事も、政権の考えに近い人物が選ばれていると指摘している。もし、首相であれば、原発をすぐに廃止する。南海トラフ地震によって伊方原発や浜岡原発で過酷事故が起きてしまったら取り返しがつかなのだから、と。
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