背景重力波って

アメリカなどの国際的な研究チームが「背景重力波」を示す証拠を捉えたと発表した。重力波とは、ブラックホールが合体するなど、巨大な質量を持った物体が動いた際、時間と空間のゆがみが遠くまで波のように伝わる現象だ。研究チームは、パルサーと呼ばれる、極めて正確な周期で電波を出す天体を60個以上観測し、電波が到達する間隔を変動させる要因を詳しく分析した結果、背景重力波が存在する証拠を捉えたとしている。これだけでは何のことかサッパリ分からない。例えるとこうだ。大きな湖にカヤックに乗った人たちがリズミカルにバドルを漕いでいる。そこにモーターボート2隻が、互いを追いかけ合って円を描くように走り、その結果として水面に波紋が生じる。この波紋によってカヤックがぐらつき、リズミカルなバドリングをわずかに狂わせる。研究チームはその微かなリズムの変化を検知することで、湖面に広がる波紋のような乱れを発見した。勿論、モーターボートが巨大なブラックホールであり、カヤックのパドルがパルサーだ。研究チームが次に目指すのは、この波をたどり、その発信源となっている超大質量ブラックホール連星を突き止めることだ。この研究で、巨大なブラックホールがどんどん合体しているというシナリオをかなり確度を持って検証できていることになるという。宇宙誕生の謎にまた一歩近づいたようだ。