使えないコロナ飲み薬

新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行して、もうすぐ2カ月になる。同じ5類のインフルエンザと較べ新型コロナは後遺症が出るのが特徴だ。沖縄で感染者が増え、第9波の始まりかと言われている。コロナ治療薬は進展したのだろうか。現在、国内で使えるコロナの飲み薬は3種類ある。投与対象が重症化リスクのある人に限られるのが米メルク社製の「ラゲブリオ」と、米ファイザー社製の「パキロビッド」。もう一つは、初の国産飲み薬として実用化された塩野義製薬の「ゾコーバ」。パキロビッドは臨床試験で重症化や死亡の抑制効果が非常に高いが、飲み合わせが悪くて使いづらい。パキロビッドが使えない場合は、効果が落ちるラゲブリオが使われる。一方ゾコーバは重症化リスクの高くない多くの患者に使えることが特徴だ。せきや発熱、喉の痛みなどの症状が、薬を投与しない場合よりも1日早く改善する効果があるとされている。パキロビッドとゾコーバは、高齢者がよく使う高血圧症や高脂血症といった生活習慣病の薬との飲み合わせが良くない。コロナの飲み薬を必要とするのは高齢者だが、殆どの高齢者は高血圧症や高脂血症の持ち主だ。でも塩野義がゾコーバは後遺症のリスクを45%低減させるデータを得たと発表した。微かな光だ。10月以降、5類移行で公費負担が終了する。コロナ治療薬は高額だ。ゾコーバ約5万2000円、ラゲブリオ約9万4000円、パキロビッド約9万9000円。インフルのタミフル1150円に較べ高額だ。コロナ飲み薬は、使えない薬というのが実態のようだ。