生みの親か育ての親か

食物史の専門家であるアルベルト・グランディ・パルマ大教授が「捏造された原産地」という本を出した。今まで古典的なイタリア料理だと思っていたティラミス、カルボナーラ、ピッツァは歴史が浅く、他国文化の影響を受けて誕生したものだと研究成果を発表し、大論争が巻き起こっているという。カルボナーラは、ローマのパスタファミリーに位置づけられ、アレンジが禁止されている。しかし、カルボナーラは第二次世界大戦の敗戦を契機に、米国人のためにイタリアの料理人が作ったのが最初と言われている。ピッツァもイタリア料理の代表として認知されたのは戦後になってからだという。ピッツァだけを出す本格的なレストランは、1911年に米ニューヨークでオープンしたのが最初。1943年、イタリアにやってきたイタリア系米国人の兵士は、ピッツァ専門店がイタリアに全然見つからないと手紙に書いたという。元を辿るとカルボナーラとピッツァはアメリカ料理と言えるかもしれない。でも、起源は他国かもしれないが、現在はれっきとしたイタリア料理の不動の位置を占めている。韓国では「キムチの起源は中国」説に猛反対している。生みの親か育ての親かの論争と似ている。両者とも親と認めるべきものだと思うのだが。