高圧鉱物ポワリエライト

高圧鉱物を調べることにより、地球を含めた太陽系の謎に迫ろうとする研究がある。2021年にポワリエライトと名づけられた新しい高圧鉱物が隕石の中から発見された。発見者は海洋研究開発機構JAMSTECの高知コア研究所の富岡主任研究員。鉱物は化学成分と結晶構造の組み合わせで定義・分類される。カンラン石Mg2SiO4は8月の誕生石として知られるペリドット。カンラン石は、高温高圧下で結晶構造を変えリングウッダイト、ワズレアイト、ブリッジマナイトとなる。地上と上部マントルではカンラン石、マントル遷移層ではリングウッダイトとワズレアイト、下部マントルではブリッジマナイトとして存在する。そしてポワリエライトはリングウッダイトやワズレアイトになる前か、もしくは圧力が下がってカンラン石に戻ろうとする途中の構造と思われる。ポワリエライトは不安定な鉱物。不安定な故に、その存在で生成過程の圧力・温度を知ることになり、地球や太陽の解析に繋がるという。因みに、鉱物の命名に決まりは無いが、その鉱物に因んだ人物の名前を使うことが多いという。ポワリエライトはポワリエさんが予言したイプシロン型と一致したため命名されたという。高圧鉱物学も奥の深い研究分野のようだ。