稲葉NHK新会長vs前田前会長

稲葉NHK新会長が、職員向けに「改革の検証と発展へ」と題したメッセージを出し、前田前会長の改革を再検討する考えを示した。前田前会長は温厚そうな顔をしているが、大胆なNHK改革を実行した。役職定年制を導入し、管理職を3割削減し人件費コストを大幅に減らした。幹部職員になるためには試験に合格しなければならなくなった。放送総局を廃止し、縦割りを無くした。編成・番組改革も行った。受信料を1割下げた。しかし、この改革で組織内で不満が渦巻き、辞める職員が増えた。大河ドラマ、連続テレビ小説以外のドラマは外注化が進み質が落ちた。視聴率も低下した。職種別採用を止め、一括採用にしたため、今後優秀な人材を得られるか分からない。改革には痛みが伴うのもだ。少なくともNHKの温床を破壊したと言える。前田は歴代NHK会長の中では良くやった方だと思う。ただ、問題は改革の目標が受信料1割値下げのためだったことだ。本来、NHK会長が成すべきことは、公共放送への脱皮だ。公共放送とは何か。この問いかけさえ出来れば100点満点だったのだが、出来なかったので落第すれすれの50点だ。稲葉NHK新会長の再検討は、ぬくぬくと育ったNHK管理職の利権復活に見える。