社会の風潮に一矢を

緊急事態宣言の期間中に営業時間短縮命令を出したのは違法との判決が下された。この期間、営業を続けたグローバルダイニングが都に賠償と憲法違反を問う裁判だった。東京地裁は「命令を出す必要があったとは認められず違法だ」とし、一方で「都に過失があったとまではいえない」として賠償を求める訴えは退けた。要するに痛み分けだ。でも、裁判をしなければ、世間では都の違法行為は正当と見做されるので、事実上グローバルダイニングの圧勝と言える。この判決は今後の緊急事態宣言の発令に当たって、とても意味のあるものだと思う。裁判長は、グローバルダイニングがしっかりとコロナ対策をしているので、午後8時以降の営業で直ちに感染が拡大するするリスクがあるとは思えないし、都からの合理的説明も無いと指摘している。ごもっともな意見だ。今後都と国は合理的な説明責任が求められる。なおグローバルダイニングは主張の75%しか認められなかったので、憲法違反については控訴する方針とのこと。この裁判の素晴らしい点は、緊急事態宣言の科学的根拠を問うていることだ。社会の風潮に一矢を与えている。