原発処理水放出について

原発処理水放出について、全国漁業協同組合連合会の岸会長と萩生田経産相との会談が行なわれた。萩生田経産相が、不安払拭を求める全漁連へ回答書を手渡した。回答書には、放出による風評被害に政府が全責任を持つことや、政府が300億円規模の基金活用を通じ、安心して漁業が継続できる対策を講じることを盛り込み、政府が地元漁業者と2015年に交わした「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」との約束を順守することも明記した。これに対し岸会長は「国民、全国の漁業者の理解を得られない処理水の海洋放出には断固反対で、いささかも変わらない」と表明した。萩生田は会談後「距離感は縮まっていると思う。福島にとどまらず、漁業をどうしていくか考えたい」と述べたとか。萩生田は何を持って「距離は縮まっている」と感じたのだろうか。政府は風評被害にどのように責任を取るのだろうか。漁業を継続できる300億円の対策とはどのようなものだろうか。この回答書は、全く回答の体を成していない。萩生田は「300億円でチャラにして」とでも思っているのだろう。風評被害は国内だけではない。全世界に向けて、トリチウム放出の安全性を科学的に丁寧に、相手が納得するまで説明をし尽くす必要がある。