エネルギー政策の見直しを

21日に政府が突如「電力需給ひっ迫警報」なるものを出した。電力需給ひっ迫警報など聞いたことも無い。それもそのはず、2012年の制度創設以来、初めての発令だ。夜には「節電にご協力を」と、その後には「停電するかも」とアナウンスされた。経緯を聞くと、政府が後手を引いたからだ。事の発端は、16日の福島沖地震だ。火力発電8基が停止し原発5基分相当の供給力が失われた。これに季節外れの冷え込みが重なり、悪天候で太陽光発電も動かなかった。全て前もって分かっていた。政府の対応が遅れただけだと言える。更に言えば、如何にも偶々悪条件が重なったかのように報道されているが、根本原因はそこには無い。根本原因は電力の自由化だ。送電部門と発電部門を分離し、発電部門を市場原理に委ねた。自由化は同時に原発の前面停止と同時に行なわれ、電力供給の20%が失われた。再エネ最優先政策で火力が不採算となり廃止が進んだ。更に脱炭素化のため、経産省は電力会社に「2030年までに石炭火力を100基減らせ」と指示したため、日本の発電能力の20%が失われることになる。一方原子力規制委員会が設置変更許可しても運転していない原発が7基ある。原発は使いながら減らして無くすのが賢い知恵だと思うが、政府の腰は定まっていない。ロシア問題も有り、脱炭素化を吟味すべき時期にある。これを契機にエネルギー政策を抜本的に見直すべきだと思う。