三菱ケミカルの脱炭素化

三菱ケミカルが3年後を目処に石油化学事業と炭素事業を同社から分離すると発表した。石化事業はエチレンなどのプラスチック原料が主力で、炭素事業は石炭を蒸し焼きにした製鉄用コークスを手掛けている。売上高は約6千億円で全体の2割を占めている。脱炭素の取り組みを加速させ、今後は需要が高まる電池向けの事業やヘルスケア事業などを強化する方針とのこと。ところが、同時に期待の大きかった再生医療向け細胞製品の承認申請計画の見送りを発表したため株価は10%も下落した。しかし、石化事業も炭素事業も三菱ケミカルはコングロマリットだから、有用な事業だった。分離してしまえば息の根を止めるようなもの。しかも、残りの8割の事業の先行きは決して明るいとは言えない。単に身を細くしただけと言える。ギルソン社長は、単に脱炭素化に乗り遅れまいとして、実経営よりも企業イメージに重きを置いてしまったのだろう。ギルソンは、脱炭素原理主義者なのかもしれない。小林前会長は、とんだ輩を社長に据えてしまったものだと後悔しているかもしれない。