医は算術か

野戦病院と言うと、戦闘で怪我をした兵士を治療するテント製の即席病院というイメージだったが、今では中等症以上のコロナ患者専用の病院を言う。幽霊病床という言葉もある。決して幽霊のための病床ではない。使えるはずの病床を使っていない病院の病床を幽霊病床と言う。コロナ患者を受け入れ可能と申告していながら、使用されていない幽霊病床が多数あるとのこと。日テレの報道によれば、8月末時点で都内でコロナ患者をすぐに受け入れ可能な「即応病床」は5967床あったが、受け入れられた患者は4297人で、病床使用率は72%。個別に見ると、使用率100%の病院が50施設ある一方で、病床使用率40%以下の病院が27施設、0%の病院が7施設もあったという。厚労省はコロナ病床を確保した病院には1床につき最大1950万円の補助金を出している。空床でも一日7万1000円の補助金が出る。コロナ患者用の集中治療室を用意すれば1日40万円以上が支給される。患者は受け入れないがカネだけはもらう。そんな病院がいくつも存在しているのだ。尾身分科会会長が理事長を務める地域医療機能推進機構JCHOが都内で運営する5病院の確保病床数158床に対し、受け入れ患者は111人。病床使用率は70%で、3割が空いている。JCHO傘下の都内5病院の全病床は約1500床なのに158床は少なすぎるという指摘もある。JCHO傘下の東京城東病院は確保病床が未だに0床。報道陣に指摘され9月下旬からようやく50病床を用意するという。医は算術と言えそうだ。