新しい臓器の発見

オランダの研究チームが、人ののどの奥にこれまでの医学では知られていなかった臓器が見つかったと発表した。鼻腔と咽頭が繋がる部分の頭蓋骨の中にある僅か3.9cmの臓器で管状腺と名付けられた。事の発端は、前立腺がんの転移診断をしていたところ偶然に見つかった。診断に用いられたのは、PSMA PET/CTという先端のスキャン検査。PSMA PET-CTは、患者にGaなどの放射性トレーサーを注入し、前立腺がんに多く含まれるタンパク質のPSMA(前立腺特異的膜抗原)と結合させ、検出するという画像診断法だ。これまでの一般的な超音波やCTやMRIではこの臓器を見つけることは出来なかった。PSMAは、前立腺がん細胞だけではなく、唾液腺組織にも多く含まれているため、今回の発見に至ったとのこと。研究チームは、管状腺の発見が今後のがん治療にとっても重要だとしている。管状腺は唾液を分泌するため、がんの放射線治療で管状腺が損傷すると、患者の食事や会話に影響を与え、クオリティ・オブ・ライフを損ねてしまう恐れがある。次のステップは、管状腺を、どのようにして患者に最適な形で残すことができるかを見極めることだと言う。2020年になっても新しい臓器が発見されるとは、人体の謎は益々深くなっていくと感心した。