勤労統計問題で分かったこと

厚労省の毎月勤労統計問題は、偽装・ルール違反だが、これをきっかけに気付いたことがある。勤労統計には大きな欠陥がある。一つは賃金水準の算出法。Aという会社の賃金の推移を根拠にしている。Aがリストラしても残った社員の賃金は変わらないか上昇する。しかし、リストラされた人は殆ど減給になる。トータルすれば賃金は下がるのが現実なのだが、統計上はAだけが対象なので、賃金は上昇することになる。もう一つは物価の算出法。最近のメーカーは狡辛くなり、製品価格を値上げせずに、内容量を下げる。実質的な値上げだ。でも統計上は値段据え置きとカウントされる。賃金水準が下がり、一方物価は上がっているのが現状だ。政府やマスコミは「いざなぎ景気超え」と騒いでいるが、景気を実感している人などいない。益々国民生活は苦しくなっている。政府は指標を支払い給与である名目賃金から物価を考慮した実質賃金に変え、かつ、賃金と物価を実態に合わせるよう、統計手法そのものを見直すべきだと思う。この騒動でアベノミクスが国民生活に寄与せず、むしろマイナスに働いていることが分かった。