短歌引用の心得

先日安部・プーチン会談が終わったばかりなのに、プーチンが安部首相の施政方針演説に激怒しているという。安部は冒頭で明治天皇の短歌「しきしまの 大和心のをゝしさは ことある時ぞ あらはれにける」を詠んだ。文脈から推測すると、大きな困難に直面しているが共に力を合わ乗り越えていこう、と言いたいのだろう。しかし、この短歌は「日本人の大和魂の勇ましさは、平時では現れなくても何か起こった時こそ現れるものだ」という意味で、日露戦争中、明治天皇が国民に勇気ある戦いを呼びかけたもの。まさに打倒ロシアの号令なのだ。日露戦争はロシアにとっては弱小国に負けた屈辱的な戦いだ。プーチンから見ればいきなり喧嘩を売られたようなもの。激怒するのは当たり前。これでは、北方領土問題は遠くなるし、6月の大阪G20プーチン不参加も現実味を帯びてくる。短歌を引用する場合、字面を見るだけでなく、その背景を理解することが肝要だ。その理解力を教養という。安部は総裁選の時も同じ過ちをしたことを、このブログ「怖い笑い話」にも書いた。教養は一朝一夕に身に付くものではない。ならば、薄っぺらな知識をひけらかすのは慎むべきだと思うのだが。懲りないようだ。