猫の恋心?

近所に外猫がいる。我が家に初めて外猫のシロが遊びに来たのは9年位前のことだ。このシロは極めて美形で毎年子を産む。多産系の血筋かと思っていたが、違う。何故なら毎年育つシロの子である雌猫はサクラ耳でもないのに子を産まないからだ。多分雄猫から見てシロは妖艶なのだろうと人間の自分から見てもそう思う。そのシロが4回目に産んだ雌猫がユニークだ。黒くて縞があるので我が家ではシマクロと呼んでいる。勿論シロクマでもないしノラクロでもない。歴とした雌猫なのだ。4年前に生まれたから、人年齢に換算すると30歳。人の世界ならば30歳の女性は色気がある。適齢期と言える。でも最近そのシマクロの様子が少しおかしい。あるオジサンが連れたある犬が近づくと、二ヤーン、二ヤーンと鳴き声を上げながら、犬に近づき、その前後左右を走り回る。シマクロが親愛の情か求愛を表しているかのように見える。でも犬は迷惑そうな仕草をする。残念ながらシマクロの愛は犬には伝わっていないようだ。でも、シマクロはその犬が通る度にアタックを繰り返す。猫の世界には動き回るテリトリーがある。シマクロはテリトリーの境界である隣家の端まで行くと、そこで立ち止まり、恨めしそうに犬の後ろ姿を見送るのだ。その姿に健気さを感じる。シマクロはその犬に恋をしてしまったのだろうか、それとも自分の親とでも勘違いしているのだろうか、といつも想像させられる。