面白い五輪の場外戦

どうなる?下町ボブスレー。無償提供の日本製そり「下町ボブスレー」を平昌五輪で使用する契約していたジャマイカが、大会直前に翻意し、ラトビア製そりに変更すると言い出した。ところが、ジャマイカのコーチが辞任し、コーチ所有のラトビア製そりを使わせないという。さて、ジャマイカの運命はどうなるのだろうか?「下町ボブスレー」の開発経緯は面白い。まず大田区の小さな町工場が中心となり、大田区産業振興の一環として始まった。安倍首相の「世界一の国産ボブスレーを目指そう」との掛け声で計画が一気に動き出した。中小企業庁のJAPANブランド育成支援事業に採択され、支援に名乗りを上げるスポンサーも相次ぐ。首相の鶴の一声で一気に国家事業になった。だが、ボブスレー作りはそう甘くはない。米国ではBMWが、伊ではフェラーリがバックアップしている。高度な技術が必要だ。日本では東レの炭素繊維材料技術や東京大学の設計技術が協力している。だが、ソチでも平昌五輪でも、日本チームは下町ボブスレーではなくラトビア製を採用。下町ボブスレーは仕方なくジャマイカに無償提供をすることに。しかし、昨年末のドイツ大会に物流ストの影響で下町ボブスレーが届かず、ジャマイカはラトビア製に乗り換え好成績を収めた。更に1月に入り、下町ボブスレーは機体検査で2回も不合格。ジャマイカは突如下町ボブスレーは使わないと一方的に連絡。下町ボブスレーはジャマイカに損害賠償を請求する騒ぎに。ところが、ジャマイカはラトビア製を使うことが出来なくなった。辞任したコーチが自分の所有物だから使わせないと主張したからだ。下町ボブスレーは今、平昌でジャマイカ支援のため待機している。さて、この続きはどうなるのだろうか。まるで、池井戸潤の小説を彷彿とさせる。事実は小説よりも奇なりということか。五輪は競技だけでなく場外戦も面白い。