「毒には毒を」は間違い

今日最大のニュースはトランプ政権の核戦略の見直しだと思う。「核なき世界」を掲げて核の役割縮小を目指してきたオバマ前政権の方針からの大転換だ。新たな小型核兵器の開発と、非核攻撃への反撃にも核を使用する可能性を掲げた。敵国の軍事基地や首都を攻撃破壊する戦略核兵器は新STARTで配備上限が規制されているが、通常兵器の延長線上に在る比較的威力の弱い戦術核兵器には規制が無い。トランプはこの戦術核兵器の開発に力を入れると言っているのだ。背景にはロシアの戦術核兵器の増強があるとのこと。プーチンは「数多くの数量と種類の爆発力の小さな核兵器を保有し、地域紛争で限定的に先制使用することが、米国に対する優位性をもたらす」と考え、体制を整備している。実際ロシアは戦術核を米国の5倍も保有しているとのこと。米国はプーチンの考え方を誤りだと非難してきたが、対抗するためには戦術核の開発に踏み切らなければならないと言う。まさに「毒には毒をもって毒を制す」の諺通りだ。だが、戦術核が増えれば増えるほど、核兵器の使用が増え地球は放射能に汚染されることになる。イラクで劣化ウラン弾により奇形児が増えたが、事態は益々深刻になるばかりだ。更に戦術核がテロ集団に渡ればどうなるかは自明の理。トランプ政権は道を踏み外したとしか言い様がない。