ホワイトハウス劇場は続く

米国のホワイトハウス劇場が面白い。嘗て陰謀渦巻くホワイトハウスを舞台にしたテレビドラマが多く作られ、架空の物語として面白いと思って見ていた時代があった。だが、それは架空ではなく現実だと思わせる事件が立て続けに起きている。勿論主人公はトランプ。米大統領選の投票日間近にコミーFBI長官がクリントンの私用メール問題の再捜査を明らかにしたことにより形勢が逆転。リードしていたクリントンが敗れトランプが勝った。この時は、コミー長官はトランプ陣営の味方だと思っていた。ところが、今度はトランプがコミー長官を電撃的に解任した。しかも具体的な解任理由を述べない。極めて異常だ。コミー長官は、大統領選時のトランプのロシア・コネクションにメスを入れるため体制を整えようとしていた矢先のことだ。当然誰しもが思い出すのがウォーターゲート事件だ。大統領選のさなかに、ニクソンが民主党本部のウォーターゲートに盗聴器を仕掛けた。その録音テープが見つかりニクソンは辞任に追い込まれた。まさに第2のウォーターゲート事件と言えそうだ。ニクソンは証拠を握りつぶせずに辞任したが、トランプはFBI長官の首を切り捜査そのものを潰そうとしている。さて、生涯で約4000件もの訴訟を抱えながら刑事事件を免れ、かつ税法上の利点を最大限利用して過去18年間所得税支払いを免れてきたトランプは、この難局を乗り越えることが出来るだろうか。ホワイトハウス劇場は続く。