カーボンナノチューブの時代到来

名古屋大学がカーボンナノベルトの合成に世界で初めて成功したと発表した。カーボンナノベルトとは、ベンゼン環が筒状に曲がって繋がったリング状のもので、炭素原子48個、水素原子24個で構成され、直径は何と0.83ナノメートル(ナノは10億分の1)。とても有用だが合成が難しく「夢の分子」とされてきた。カーボンナノベルトはカーボンナノチューブの出発原料になる。カーボンナノチューブは、人の髪の毛の5万分の1の太さで、アルミニウムの約半分の軽さ、鋼鉄の約100倍の引っ張り強度、ダイヤモンドの約2倍の硬さがあり、かつ銅よりも導電性、熱伝導性、耐熱性に優れ化学的安定性もある。まさにマテリアルの王様と言える存在だ。ところが、現在のカーボンナノチューブは太さがバラバラな為、理論上の性能を達成出来なかった。だが、カーボンナノベルトを出発原料に使えば、一定のカーボンナノチューブを作ることが出来ることになる。現在はテニスラケットや日産X-TRAILバンパーに使われている程度だが、次世代コンピューター、フレキシブルディスプレー、燃料電池、更には宇宙エレベーターへと夢は広がるばかりだ。それ程カーボンナノベルト合成の成功は未来を拓く価値のあるものだと思う。アッパレ!名古屋大学。