驚異の21世紀枠:不来方高校

選抜高校野球の32出場校が決定した。今大会は強打者が目立つという。早実の清宮を筆頭に、履正社の安田、日大三の金成、智弁の太田と福元、福岡大濠の古賀等々、数え上げたら切りが無い。センバツは各地方大会の優勝校が顔を揃えることになる。それにプラスされるのが21世紀枠。21世紀枠はその名の通り2001年から始まった。秋季都道府県大会でベスト8または16以上の学校の中から、恵まれない環境、他校や地域に良い影響を与えているなどの理由で認められた高校が3校選出されることになっている。今年は、岩手の不来方、岐阜の多治見、高知の中村が選ばれた。多治見はグランドが他部と共用のため普段は内野部分しか使えないハンデを克服し岐阜大会で優勝した。中村は部員が16名。名門の進学校だが、高知大会で明徳義塾を破り優勝した。更に凄いのが不来方だ。部員がたったの10名しかいないが、岩手大会で準優勝を勝ち取った。監督は打ち勝つことに的を絞った。練習時間は平日約2時間、土日は4~5時間と短いが、人数が減ったこともあり一人当たりの打ち込み数が以前の30~40球から200球以上にアップ。それが功を奏し4試合で計26得点をたたき出したとのこと。守備練習も真剣だ。後逸すれば自分が取りに行かねばならない。その分練習時間が減ってしまう。練習効率を落とさないためには、1球への集中力が必要だ。主将は「10人だけだから弱いとか勝てないと思ったことは一度もない」と言い切っている。まさに逆境を乗り切りプラスに変えた21世紀枠チームだと思う。是非とも甲子園での初戦突破を願いたいものだ。