No,I didn't

オバマ大統領が最後の演説に臨んだ。8年前Changeの標語とYes,We canの合い言葉を携え颯爽と登場し、任期を終えた今Yes,We didと自身を評価した。果たしてYes,We didだったのだろうか。米ギャラップの調査によると、「進歩した」分野を勝ち、「後退した」分野を負けと表すと、4勝15敗とのこと。4勝の内訳は、同性婚の支持やエネルギー、気候変動、経済。大幅に負け越した。米国は最早世界の警察官ではないと発言した途端に、中国、ロシア、イスラム国の増長を許してしまった。アフガンとイラク戦争の終結宣言をしたが、両国とも実態は益々酷くなっている。イランとの核合意、キューバとの国交回復、TPP合意はトランプによって覆されそうになっている。経済はリーマンショックから回復したが、オバマは自動車会社を救っただけで、手柄はFRBのものだ。経済は回復したものの、所得格差が広がった。殆どの米国民は経済の恩恵を受けていない。寧ろ貧しくなった。その経済格差に対する不満がトランプの地滑り的勝利に繋がってしまった。3年前に民主党が大敗し、共和党が上下両院で過半数を確保してから、レームダックに陥った。政治的スキルが欠けていて、議会と良い関係が築けなかったからだ。オバマケアの理念は素晴らしかったが、実態は骨抜きにされ、中流層は医療費に苦しみ下流へと落ちていった。オバマの功績といえば、任期始めにプラハで「核兵器なき世界」を演説しただけでノーベル平和賞をもらい、任期終わりに広島訪問をして帳尻を合わせた程度かもしれない。結局、崇高な理念は語れても、変革と融和の指導力は無い人物だったと言えそうだ。正しい自己評価はYes,We didではなくNo,I didn'tだと思うのだが。