迅速復旧の後遺症

博多駅前の大陥没現場がたった1週間で復旧した。テレビ画像に映し出された崩落陥没シーンには驚いた。まるでミニチュア模型の世界の出来事のようで、それが現実だと思うとぞっとした。穴は深さ15m、幅27m、長さ30mと巨大。通常であれば復旧に数か月はかかるという。何故1週間に短縮出来たのだろうか。幸い人が巻き込まれなかった所為かもしれないし、博多市長の「オール福岡の勢力を挙げて」というリーダーシップ力がものをいったのかもしれない。色々な職種の色々な職場の専門家たちが一致協力して成し遂げた仕事力は称賛に値する。まさに日本の誇りだと思う。だが一方で、何故事故が起きたのだろうかとも思う。博多市長は前代未聞の事故と言っているが、過去に同じ路線のトンネル工事で2度も陥没事故が起きている。しかも、その原因は未だに明らかになっていない。見方を変えれば、性懲りもなく同じ過ちを繰り返し続けているとも言える。穴は埋め戻してしまえば、消えてしまう。穴が消えてしまえば、事故の記憶も消えてしまう。事故の記憶が消えてしまえば、当然原因を突き止める意志も無くなってしまう。これを繰り返しているだけなのかもしれない。そう考えると、迅速復旧がベストとは言えないような気持ちになってきた。