行政改革の初めの一歩

杉並区が打ち出した待機児童対策に対し住民たちが揉めている。区は新設の保育園用地の候補として幾つかの区立公園を挙げたが、近隣住民は子供の遊び場が無くなると反対している。保育園に入れない待機児童の解消は、主に都市部の喫緊の課題だ。昨年のデータでは、全国で2万人以上いて、うち都内には約8千人と集中している。都会の自治体にとって、保育園の開設は用地確保が大きな課題になっている。最近は庁舎の駐車場とか新設のオフィイスビル内にも保育園が作られているのが現状だ。区が区立公園に目を付けた気持ちは良く分かる。では地域にとって公園とは何だろう。住民にとっては憩いの場であり、地域の環境保全の場であり、子供たちの遊び場であり、幼児を抱えた母親の公園デビューの場でもある。ひと昔前は、公園とは単なる空地だった。だが今ではこのように住民にとって無くてはならないものになっている。住民が公園を潰されることに反対する気持ちは良く分かる。公園は必要だ。でも保育園も必要だ。そこで、この両方を満足させる手段は無いものかと考えてみた。良く考えればあるのだ。現在ある公園には保育園を作る。その代り小中学校に公園の機能を付加させるというアイデアだ。昔は誰でも小中学校の校庭に入り遊べたが、現在はセキュリティ上という名目で入ることは出来ない。誰でも入れるがセキュリティにも問題が無いという学校の仕組みを作れば解決するはずだ。学校側にとっても常時近所の人がいる所為で見守り効果も上がるし、生徒と近所の人の交流も増え、実質的な社会人教育にもなる。何故出来ないのだろうか。答えは簡単。全てが縦割り行政だからだ。一つの行政内だけでは完結しているかもしれない。だが、それがトータルで優れているとは言えない。縦割り行政を打ち破ることこそ、行政改革の一歩目だと思う。