夕張市の暗・明と明・暗

全国唯一の財政再生団体として緊縮策が続く夕張市には、暗くて明るいニュースと明るくて暗いニュースがあるようだ。炭層メタンガスの試掘が始まる。上手くいけば、地下に眠る石炭層からメタンガスを取り出し燃料や発電に使用出来ることになる。だが、その試掘場所では30年以上前にメタンガスが突出し百名近い死者を出す大惨事があった。その後炭鉱が閉鎖され人口が減り、リゾート計画も失敗して大借金だけが残り現在に至っている。嘗ては大惨事の元凶であったメタンガスを、今度は地域活性化に繋げようという訳だ。暗くて明るいニュースと言えそうだ。市は取り出したメタンガスを夕張メロンのビニールハウスの熱源などに利用することを考えている。夕張メロンは高級品だ。農林水産省は昨年末、地域のブランド農産物を保護する「地理的表示」に夕張メロンを認定した。夕張メロンはまさに農産物ブランドのトップランナーなのだ。ところが、生産減に歯止めがかからないとのこと。生産者は40年前から半減し、今後も更に減少する見通しのようだ。不思議な現象が起こるものだ。原因は夕張市農業協同組合なのだ。夕張メロンの種も実も農地までも、全てを農協が管理している。その農協が、夕張メロンの生産量を増やせば価格が下がるとして、生産者数を減らし続けている。明らかに、農協のやり方は夕張市の思惑に逆行している。名を取るのか、実を取るのか。農協は名を取り、夕張市は実を取ることを望んでいる。夕張メロンは増々高級化するが、夕張市は何の恩恵も浴さないことになりそうだ。まさに明るくて暗いニュースと言えそうだ。