英国のEU離脱の賛否

オバマ米大統領が、英国はEUを離脱すべきではないと強い警告を発した。首脳が外国の国民投票の是非について言及するのは極めて異例だ。英国では6月にEUからの離脱を問う国民投票が実施される予定になっている。英国国内の賛否は五分五分。キャメロン首相は反対派で、ロンドン市長は賛成派。拮抗している。オバマの眼中には、EUとの環大西洋貿易投資協定交渉を優先したいとの思惑がある。更に英国がEUに留まれば、ある程度EUをコントロール出来ると思っているのだろう。英国がEUに留まればオバマにとっては願ったり叶ったりだ。一方反対派のキャメロン首相は賛成派に圧され気味の情勢だ。他力本願であろうとも何とか立て直したいと願っている。両者の思惑は一致した。恐らく、キャメロンがオバマに応援演説を頼んだに違いない。ところが、オバマは図に乗って「EUを離脱すれば、貿易協定締結交渉の優先順位で、英国は列の後ろに並ぶことになる」と、英国に対し屈辱的な言葉を吐いてしまった。英国民は、米国と対等と思っている人が多い。オバマの一言がキャメロンを勇気付けたことは間違いないが、同時に賛成派の勢いに油を注いでしまったに違いない。英国民は、最早任期切れ寸前でレームダック状態のオバマの言葉を信じて良いのだろうか。英国民こそ、米次期大統領選を注視し、賛否を発信すべきだと思う。